1.不動産に関係する税金

不動産(土地・建物など)の取得、保有、売却については、各ケースで税金が課されます。

 不動産を取得したとき

登録免許税(国税)・・・登記に必要な登記印紙代として課されます。
不動産取得税(都道府県税)・・・土地、建物を取得した際に課される税金です。
※ 不動産を贈与するときには、贈与税だけでなく、不動産取得税もかかりますので、ご留意ください。

 不動産を保有しているとき

固定資産税(市区町村税)・・・毎年1月1日現在に所有している土地、建物の保有に課される税金です。

 不動産を売却したとき

 法人が売却したとき
事業に関する所得と一緒に、法人の所得として、法人税、復興特別法人税、都道府県民税、市町村民税、事業税といった税金が課されます。

 個人が売却したとき
譲渡所得という区分で、他の所得と区分して、所得税、復興特別所得税、都道府県民税、市町村民税が課されます。

2.個人の不動産売却益に対する課税(所得税)

個人が土地や建物を売り、売却益が生じるときは、譲渡所得として、給与所得などの他の所得と区分して税額を計算します。
他の所得と一緒に、翌年、確定申告します。

売却益に係る税金=課税譲渡所得金額 × 税率

課税譲渡所得金額=譲渡(売却)価額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額(該当する場合)

 取得費

購入時の代金(建物は減価償却費相当額を控除します)や仲介手数料などの合計額です。
実際の取得費が不明なときなどは、譲渡価額の5%相当額を取得費とすることができます。

 譲渡費用

売却時の仲介手数料、測量費、立退料や、建物を取り壊して土地を売ったときのその建物の取壊し費用などです。

 特別控除額

収用などのときは最高5,000万円、自宅を売ったときは最高3,000万円の控除があります。

 税率

売却した土地・建物の所有期間が、売った年の1月1日において5年を超えるかどうかで、長期と短期に分かれ、それぞれ、次の税率を適用します。
なお、別途、所得税の2.1%の復興特別所得税が課されます。

所得税 住民税
長期譲渡所得(所有期間が5年を超える場合) 15% 5%
短期譲渡所得(所有期間が5年以下の場合) 30% 9%

3.自宅を売却した場合の特例措置

売却益が出る場合 売却損が出る場合
 3,000万円の特別控除の特例

3,000万円を限度として、売却益から特別控除額
(譲渡所得金額を限度)を差し引くことができます。

 譲渡損失の損益通算、3年間の繰越控除

自宅に係る所有期間5年超の場合の譲渡損失は、次のいずれかにより、他の所得と損益通算することができます。また、その年に通算しきれなかった 譲渡損失は、翌年以後3年内の各年の所得から控除することができます(適用者について所得制限あり)。

① 新たに住宅ローンを組んで自宅を買換える場合

② 住宅ローン残高がある自宅を売却して、新たに自宅を買換えない場合
この場合は、損益通算及び繰越控除できる金額は、住宅ローン残高から自宅の譲渡対価を控除した残高が限度となります。

▮ 所有期間10年超の軽減税率の特例

6,000万円までの部分…所得・住民税率14%
6,000万円超の部分……所得税・住民税率20%
※この軽減税率は、3,000万円の特別控除と併用できます。

 買換え(交換)の特例

所有期間、居住期間が10年以上など一定の要
件に該当する場合は、課税を繰延べることがで
きます(特別控除、軽減税率との選択適用)。

4.空き家となっている被相続人の自宅を売却した場合の特例措置

被相続人の自宅を相続した相続人が、相続日から3年を経過する年の12月31日までに、その自宅(家屋は一定の耐震基準を満たすもの)や敷地を、または、家屋を取り壊してその敷地を売却した場合(売却価額1億円以下であること)には、売却益から最大3,000万円を控除することができます(令和5年12月31日まで)。

家屋と敷地を売却するときは、家屋については建築年や現行の耐震基準を満たすものかという条件があります。
この条件を満たさない家屋の場合は、家屋を取り壊してから売却しないと、特例の対象になりません

 相続した家屋の要件
①相続開始直前に被相続人の自宅であり、かつ、同居者がいなかった家屋であること(注)
②昭和56年5月31日以前に建築した家屋(区分所有建築物を除く)であること
③相続時から譲渡時まで、空き家のままで、何も使われていなかったこと
④家屋を取り壊さずに売却する場合は、売却時において、現行の耐震基準を満たすこと
(注)平成31年4月1日以後は、被相続人が相続開始直前に老人ホーム等に入居し、空き家になっていた場合も特例の対象になります。